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『私のことは、私の言葉で、相談する力』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『私のことは、私の言葉で、相談する力』
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こんにちは。
グループホームHARUです。

皆さんは、困ったことは自分の言葉で、
相談するべき相手に相談ができていますか?

私は福祉事業(グループホーム事業)もしています。
入居者側と運営側で信頼関係は大切です。
しかし、ちょっとしたことで不穏な関係になることがあります。

例えば入居者から、職員や責任者に直接相談がない中で、
突然、本部や代表者にご家族から直接連絡がいく。

「うちの子が○○の件で困っているようなんです。
対処してほしい」

簡単にいうと上記のような内容です。

現場の担当スタッフが聞けていれば、
早めに手を打てるのですが初めて聞く内容。

事実把握から始めていき、
必要な対処法を探していきます。

こちらのご両親は、

「うちの子は自分が困っていることを相手に伝えられない。
だから私が代わりに伝えてあげないといけないんです」

と言われていました。

「お母様は自分が彼・彼女の一番の理解者であり代弁者」
という認識なんですね。

もちろん職員が直接話を聴けるだけの関係性、
雰囲気づくり、機会づくりの努力は必要です。

一方でどのような社会であっても、
欲しい解決策がもらえるかどうかは別にして
「自分から相談できる力」
は自分を守る上で必要な力ではないでしょうか。

人を介することによって、情報が歪曲する。
今回のケースで言えばご両親を介する。

お母様は理解者ではない職員に不満を持つ。
不満を持てば、
様々な出来事をネガティブに捉える傾向になります。

これは福祉だけではなく、
子供のあらゆる習い事をお仕事にしている方は
体験済だと言われていました。

「うちの子が○○で困っている。自分では言えない子。
 だから親である私が代わりに伝えないといけない」

声に出して相談する力が子供にもある中で、
ご両親が代わりに介入してしまうことは、
両者間の信頼関係に亀裂が入ってしまうことがあります。

自分で解決できることが理想的。
それが難しいければ、
まずは自分で相談できる力を養えたらいいですね。

入居者さんへ最初の段階で毎回伝えていることは、

「○○さんが困っていることは
○○さんが自分の言葉で職員さんに相談してみてください。
それでも解決できない時は、私に直接相談してみてください」と。

これからあらゆる場で社会生活は続きます。
「相談できる力」はどこに行っても必要な気がしてなりません。

『福祉の矛盾』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『福祉の矛盾』
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こんにちは。
グループホームHARUです。

障害支援区分が3年1度のペースで更新されます。

この障害支援区分によって単位が大きく変わるので、
施設経営の観点でいえば、大事な指標の1つです。

特に区分3,区分2は単位が引き下げられていますし。

先日、驚くべきことがありました。

入居者2名が区分4から区分2に、
2段階も引き下げられていたことです。

本人に定められた質問をされてはいますが、
ホーム側の支援者や管理者にはヒアリングがありませんでした。

つまり本人の自己申告によって、
区分が判定されてしまっているようです。

区分1くらいの上下でしたら驚きはしないのですが、
区分2が上下するのは稀でしたので、
区分調査員の方に念のため確認を取りました。

「利用者のAさんは、どうして区分4から区分2に
引き下げられたのでしょうか?」

「以前の区分調査時は実家でした。
 実家の時は本人も不安定で、ご自身でできることも少なかった。
 お母さまも大変困っていました。
 直近HARUさんにお世話になって、生活面では大きく改善され
 落ち着いて暮らしているとお母様からも伺っています。
 グループホームに入って生活面が改善されたのが理由です」

 

「本人がグループホームに入って生活が落ち着き、
 ご自身でできることが増えたのは、一部は支援者側の“成果”です。
 成果を出すと報酬が下がるということですか?
 またグループホームの支援者に、Aさんの生活状況の確認をしないのですか?」

「残念ながら…、そういう仕組みになっていますので。
ご両親には生活面での変化の確認をしています。
電話ではご両親もグループホームさんには本当に感謝されていました」

こんなやりとりがありました。

言葉は悪いですが、報酬が下がらないためには、
入居者さんが自分でできることが増えてしまっては困るということになります。
自立をしない方が良いと。

 

今回の件で言えば、
本人のみ聞き取りで、最も生活面での長い時間を見ている
グループホーム職員への聞き取りがなく、区分判定をしてしまったこと。

そして“成果”を上げると報酬が下がるという、
他業界とは真逆のことが起きるということ。

 

入居者さんが穏やかに暮らして、生活が安定し、
就労が継続できるように、支援者はあれこれ工夫をしています。

しかし工夫を重ねた結果、
自分たちの首を絞めるという矛盾した状況が生まれるのです。

これは「福祉の矛盾」ですね。

『“納得”にたどり着くには?』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『“納得”にたどり着くには?』
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こんにちは。
グループホームHARUです。

入居者の特性は様々。

スタッフの皆さんは、
個々の特性を把握しながら
試行錯誤しながら支援されていると思います。

「自分が望む答えが出るまで
 なかなか納得をしない」

こういった傾向の方もいるかと思います。

例えば個人の希望と
グループホームのルールが
相対立することがあります。

一個人の希望としては叶えたい気持ちもあるが、
一方でグループホームのルール上、
許可ができないことがあります。

論理的・合理的に説明をして、
その場では納得をした様子を見せていたAさん。

しかしAさんから時間をおいて
また同じ質問をされてくることがあります。

次はAさんから別のスタッフに
同じ質問をしてくることがあります。

スタッフによって180度異なる回答をしてしまうと
混乱をさせてしまうため、
回答のガイドラインをすり合わせることが必要ですね。

またグループホーム外の方へ
Aさんから同じような質問をされることもある。

残念ながら普段一緒にいる時間が
長い支援者からの意見が
本人に届かない時があります。
(一緒にいる時間が長いが故に…)

定期的にモニタリングをされる相談支援員さんや
ご両親・就労先のスタッフのコメント等によって、
納得されることもあるようです。

本人の話に耳を傾けつつ、
本人が“納得”にたどり着くまでに
手を変え品を変える工夫が必要ですね。

『障害者雇用から見えた農業の弱点 PART3』

こんにちは。

グループホームHARUです。

 

前回に引き続き、
十方よし.TV11号のゲストである
京丸園株式会社の鈴木社長のお話です。

鈴木社長は「戦わない経営」を模索したといいます。

他農業法人と同じ土俵で事業を展開すれば、
価格競争になり、しいては自社の首をしめる。

そうなれば、いずれ障害者の皆さんの雇用を
守ることができなくなる。

農作物は作る物によっては、
栽培から収穫が一定の期間で行われ、
年間を通して閑散期と繁忙期が生じてしまう。

ですから1年中仕事があり
年間を通して波がないもの。
そして他社と戦わないもの。

この2つの条件で行きついたのが
ミニチンゲン菜でした。

ビニールハウス栽培をすることで、
季節に関係なく栽培が可能。

チンゲン菜は多くの場合、量り売りをされ、
1キロ=○○円で取引をされる。

ですからミニチンゲン菜は、
重さを稼げずに非効率な商品。

栽培・収穫に手間がかかり、
他法人がやりたがらない商品であり、
市場に供給量が少ない。

フカヒレスープ等と一緒に入っている料理を
皆さんも見かけることがあると思います。

需要は一定数あり、作る人が少ないため
単価は高めに設定できる。

自社には「手間をかけられる」強みがあり、
多くの障害者が働く組織において、
ここに活路を見出したわけです。

米国の経営史学者である
アルフレッド・チャンドラーは
「組織は戦略に従う」と言いました。

戦略が決まらなければ
必要な組織構造も決まらない。

どのような戦略を取るかによって、
あるべき最適な組織は変わってくる。

多くの会社で組織変更や人事制度が変更されても
会社が変われないのは、
戦略や事業領域が変わらないまま
組織だけ変えようとするからだと言われます。

一方、米国の経営学者であるイゴール・アンゾフは
「戦略は組織に従う」と言いました。

ビジネスを取り巻く環境の変化が起き、
新しい仕組みや資源を導入して、
組織が新しい能力を手に入れる。
その新しい組織の能力を実行できる戦略が生まれると。

アンゾフ教授とチャンドラー教授の主張。
実存する会社の成功要因を調べれば、
どちらが正解ということはなさそうです。
どちらも正解。

今回の京丸園様は後者の考え方でした。

自社の組織の強みを抽出し、
掛け合わせ、強みを再定義する。
そこから新しい事業戦略を立てる。

皆さんの会社でも
強みを再定義してみてください。

『障害者雇用から見えた農業の弱点 PART2』

こんにちは。
グループホームHARUです。

前回に引き続き、
京丸園株式会社の鈴木社長との対談内容について。

雇用した障害者が
トレーを洗う作業一人でできるように、
担当者に合わせてオリジナルで機械を
準備したそうです。

ただしこの機械を作るまでに、
ほとんどの機械メーカーさんから
断られました。

なぜならば個に合わせた仕様だからです。

通常は性能のよい機械に合わせて、
人間が操作を覚えてもらう。

逆の発想だからこそ、
どこのメーカーさんも
一緒に共同開発する所まではできなかった。

さらに言えば、
担当者の残存能力を極力活かせるように、
機械の機能は最小限にしたそうです。

他の方が作業すれば面倒だと思うことも、
残存能力を活かすためにあえて機械化・自動化しない。

結果、機能を最小限に抑えることで、
機械代も最小限に抑えることができたそうです。

また雇用した障害者の方から、
夏になれば、

「ビニールハウスの中が暑い」
という声が出ていました。

「それは当たり前。ビニールハウスの中だから。
 農業ってそういうものでしょう?」

と鈴木社長は思っていたそうです。

ただし作業所の先生から
「ビニールハウスでの作業が熱中症に繋がりかねない」
という指摘されると、
それにも鈴木社長は謙虚に耳を傾けました。

なぜなら雇用している障害者は、
「雇用してあげている」という主従関係というよりも、
貴重な戦力、つまりビジネスパートナーと
捉えていたからでした。

そこであれこれ試して、
最終的には数百万円もかけて
ビニールハウス内にミストシャワーを設置。

定期的に噴霧することとでビニールハウス内の
温度を下げることができました。

働く人にとっては、
今まで以上に快適になりました。

さらに嬉しい誤算としては、
ミニチンゲンサイの生育スピードが上がったり、
質が良くなったとのことです。

「人間にとっていい環境ということは、
 実は野菜にとってもいい環境だったんです」

数百万円かけて設置した
ミストシャワーの投資額も
想定より早く回収できたそうです。

暑い中で作業するのは当たり前。
それが農業の常識でした。

でも見方を変えれば、
それも農業の弱点。

障害者雇用をし、
働きやすい環境を模索する中で、
農業の弱点を次々に克服するのでした。