運営・経営

『契約条件が変わることは死活問題』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『契約条件が変わることは死活問題』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

グループホームを運営する上で、
所有物件でやっている方もいれば、
賃貸物件でやっている方もいるかと思います。

賃貸契約ですと、2年または5年で
契約更新の機会がありますね。

そのタイミングで運営者側へオーナーから
交渉事が入ることがあります。

・オーナーが自分で使いたいので、
6ヶ月後まで転居してもらえないか?

・現状の家賃を2万円あげさせてもらえないか?

オーナーさんにもそれぞれ事情があるのでしょう。

とはいえ転居を打診されても
簡単に「はい」とは言えません。

グループホーム用途で許可が出ない物件が多数ですし、
あまりにも今の住居と遠ければ、
利用者にとって生活環境が変わる。

一部スタッフも辞める人も出てくる。

就労先までの通勤時間が長くなれば、
就労先を変えることも考えなくてはならない。

賃料アップについても、
契約当初の条件で事業計画を立てています。

賃料が上がれば、
それを負担する利用者の負担金額が増える。

彼・彼女らに経済的にゆとりがあればいいのですが、
現実はそうではありません。

月3,000円~5,000円の出費が増えることは
かなりの負担です。

契約条件が変わるので、
なかなか納得もしないでしょう。

この辺りの事情を理解してくれるオーナーさんは
少ないので交渉が難航するという話を
他のグループホームでもよく聞きます。

契約条件を変えられることは、
オーナーさんにはメリットでも、
我々事業者と入居者にとっては
デメリットしかありません。

私個人の案件だったらオーナーの提示条件に
のんでしまうことはありますが、
入居者や託されたご家族のことを思うと、
簡単にはのめないですね。

福祉の事情を理解してくれて
不動産業者との折衝をする専門家(弁護士等)が
行政から派遣されたら助かるのですが…。

『介護職員の退職理由』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『介護職員の退職理由』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

求人情報サイトを運営するビズヒッツの調査結果が
掲載されていました。

介護職から転職した経験のある191人を対象に
「介護職から異職種への転職理由に関する意識調査」を
実施したそうです。

1位は「体調・体力面の不安」

コメントとしては、
・一日の勤務が終わるとクタクタになり、
『身体的にこのままではもたない』と思った。

年齢・性別に関係なく「腰痛」を理由に挙げた人が多く、
夜勤がある施設で勤務していた人からは「夜勤が体力的にきつかった」と。

2位は「収入アップのため」

コメントとしては、
・仕事量と賃金が見合わないと思ったため
・一番の理由は賃金の安さ
このまま介護職を続けていては、子どもを大学まで行かせてやれない』と思った
・先輩から『何年働いていても昇給はほぼない』と聞いて長く勤めたいと思えなくなった

3位は「労働時間への不満」

コメントとしては、
・夜勤が多くて疲れるから
・結婚して夫の休日に合わせるため、夜勤がない土日祝休みの職種に転職した
・交代勤務がつらかったから

上位3位を見てびっくりするような内容はなく、
どれも納得する内容ですね。

上記はどこの介護従事者にも共通する内容です。

あとは会社の工夫・努力で多少の不満の軽減はできるでしょう。
一部の福祉事業者では、離職率を数パーセントで抑えていますので。

福祉事業は報酬の上限額も、
最低限配置するべき人材の基準も決まっている。

一般的な業界のように利益を生むために、
「売上最大」と「経費最小」という公式が成り立たない。

経費の中でも大半を占めるのが人件費。

「人件費=働くヒト・働く時間」を抑えすぎてしまえば、
利用者にも迷惑がかかかるし、上記のアンケートの様に
一部のスタッフへ体力的な負荷が生じます。

ですので介護職員の待遇面を
国からバックアップすることは大賛成です。

そしてIOTがさらに進み、
価値を生まない一部の仕事の効率化が
さらに進んでいくことを願います。

『好きなスタッフと嫌いなスタッフ』

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『好きなスタッフと嫌いなスタッフ』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

「親子の間で最も大事なことは
 愛情である。

 親が子供へ愛情を注いだ分だけ、
 豊かな心が形成される」

こんなことを幼児教育専門家の方から
言われました。

本当にその通りだと思います。

福祉の世界でも、

「支援者の愛情は必ず利用者へ伝わる。
 だから愛情が支援のベースになくてはならない」

と言っている方がいました。

これについては一部が正しく、
一部は誤りであると感じています。

「愛情が支援のベースにあること」

これについては否定しません。

 

「支援者の愛情は必ず利用者へ伝わる」

これについては、疑問です。

血のつながった本当の家族であるならば、
言葉の裏側にある愛情まで伝わることはあります。

しかし支援者と利用者という関係の中では
根底にある愛情よりも、
表面化された言葉や態度の方がより伝わる。

愛情が仮にあっても、
言葉のチョイスを間違えたり、
態度の印象が悪ければ、
利用者との信頼関係は築けないでしょう。

グループホーム内では、利用者さんが

「スタッフAさんは好き。
 Aさんにたくさん出勤してほしい」

「スタッフBさんは嫌い。
 Bさん以外の人に来てもらいたい」

といった話題を出すことがあります。

スタッフのシフト表を
私たち以上によく見てチェックしている方もいます。

 

概ね好きなスタッフとして名前が挙がる人は、
希望を聞いてくれたり、
注意をせずに、優しく接するスタッフです。

逆に嫌いなスタッフとして名前が挙がる人は、
彼・彼女らの要望にはっきりとNO!という人であったり、
耳の痛いことでも注意をする人であったりします。

性格による所もあるので、
父性役のスタッフ、母性役のスタッフと
役割を分けているホームもあるでしょう。

父性役のスタッフの方が
利用者から好かれない傾向があるように思います。

正しさや厳しさを発動する父性役。
根底に愛情があっても、
なかなか報われることは少ない。

「愛情があれば伝わる」と考えるのは、
あまりにも雑な考え方です。

『融資課に断られた開業希望者』

こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

先日、銀行の融資課の方から
驚くべき話を聞きました。

「松本さんがされているようなグループホーム事業を
 始めたいから融資をしてほしいという相談に来た方が
 最近数名いたんですよ」

「何よりも驚いたのが、グループホームの
 立ち上げコンサルタントが同席されて、
 こちらから事業計画や直近の展望などをお聞きすると、
 コンサルタントの方が答えるわけです」

「まだ立ち上げていないから福祉のことは
 分かっていないのは仕方がないのですが、
 せめて自分の言葉で話してほしいですね。
 当事者であり責任者なんですから…。
 でもコンサルタントがメインで話されるわけです」

「コンサルタントはいずれいなくなる。
 この経営者が事業を運営できるか、不安になります。
 もちろん融資はあれこれ理由をつけて、
 お断りしましたけどね」

融資課に素人だと分かれば、
融資が通りにくくなる。
だからコンサルタント依存したということでしょうか。

すべての事業に共通していることですが、
せめて最初くらい“覚悟”がなければ、
事業を続けて困難にぶつかったときに
乗り越えることはまずできません。

事業を始める前に想像した障害・困難以上のものが
待っているからです。

コンサルタントに依存するのは止めましょう。

『コンサルに要注意というアナウンス』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『コンサルに要注意というアナウンス』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

東京都のグループホーム事業説明会に参加してきました。

東京都のグループホームを取り巻く最近の環境について
冒頭にお話がありました。

昨年はグループホーム利用者が前年比1,099名、
増えたそうです。

合計11,876名の方が利用されています。

つまり新規で約1割近くのグループホームが増えている。

受け皿としてグループホームが整備されていることが
喜ばしいことなんですが、急激に増えていることに
危機感をお持ちのようでした。

なかでも問題になっていたのがコンサルの存在です。

未経験者がコンサルの指導のもと、
新規参入が増えている。

福祉の思想がなく、資産運用のメリットや
運用は簡単だとコンサルはオーナーに伝えているそうです。

実際に数百万円のコンサルフィーを払い、
数ヶ月後で閉鎖。

または今も運営しているが、
事業継続が難しい状況も複数散見される。

事業継続が難しいとなると、
ここに住むことになれた入居者へ
また別の住まいを探さないといけない。

現実(制度や運用)をよく知らないコンサルは
要注意だとアナウンスがありました。

上記のような未経験者の参入が増えたこともあり、
事故報告は前年比70件増。
虐待報告も増えているそうです。

オーナー感覚の方は
「コンサルにお任せ」スタンスがありました。

事業者ではなく
コンサルが都に開所の相談に来るなどもありました。

コンサルと一緒に来たオーナーには、
事業計画などをお聞きするそうですが、
まったく答えられない人もいるそうです。

そのため事業説明会に新規やユニ増の事業者参加が
必須になりました。

この説明会に参加しないと、来庁相談ができない。
つまりオープンできないことを意味します。

繰り返し都の職員は、

「新規参入事業者は相当な覚悟をもってやってほしい」

と言われていました。

上手い話だけを聞いて
鵜呑みにしているオーナーも問題ですが、
福祉に素人のオーナーへ
上手い話しかしないことも無責任ですね。