運営・経営

『“仕方がない”は可能性を奪う』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

久遠チョコレートで知られる
ラ・バルカグループ代表の夏目浩次様と対談をさせていただきました。

2018年第2回ジャパンSDGsアワード内閣官房長官賞を受賞。

久遠チョコレートは全国に52拠点。
内、直営は5店舗8拠点。

チョコレート関連事業に携わるスタッフは550名。
内、障がいを抱えるスタッフは350名。

創業時はチョコレートメーカーではありません。

障害者の雇用と賃金改善を目標にパン屋から始めました。

起業時から3名の障害者を抱え事業をスタートさせましたが、
経営状況は芳しくありませんでした。

1,000万の借金を背負い、
クレジットカード6枚でギリギリまでお金を借りて、
お金を工面し、スタッフ全員に約束通りの給与を払う。

パン屋も当然ながら生産性を求められます。

スピードが要求され、テキパキ動くことが求められます。
パンは待ってくれないのです。

障害者の待遇改善のために始めた事業でありながら、
生産性が重視される職場で、
ついてこれない障害者が出てしまったそうです。

夏目代表も本望ではなかったはずです。

その後、あるチョコラティエとの出会いからチョコレートへ業態変更。
今となっては直営店では平均16万円/月を実現できているそうです。

福祉の分野に詳しい方ならばお分かりですが、
この月給はなかなか実現できないレベルです。

福祉の世界でよく使われる言葉。

「仕方がない」

理想は○○だけど、現実は難しいから
「仕方がないよね」と使われます。

障害者の待遇も課題認識として持っている人は多数いたはずです。
(※私もその一人でした)

この給与ではたして生活できるのか…と。

でも「仕方がないよね」といって待遇改善に
チャレンジする人はほとんどいませんでした。

「仕方がない」

合理的に自分を諦めさせる、便利な言葉です。

同時に可能性を奪う、怖い言葉でもあります。

あなたの職場でも

「仕方がない」

多用されていませんか?

「仕方がない」は、
あなたを理想からどんどん遠ざけていくでしょう。

『電気代が高騰しています』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『電気代が高騰しています』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

福祉事業を運営する母体は、
社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人、
株式会社、など。

福祉は無償でやるべきという考え方を持っている人は、
「株式会社」が運営しているというだけで、
搾取しているのでは?と疑う人がいます。

経営数値を見ていない人は分からないですが、
本当に「儲け」を重視しているならば、
他の事業をやるでしょう。

利益率などを考えれば非常に非効率ですから。

利益以上に社会への「貢献性」があるからこそ、
継続して運営されているのだと思います。

近頃の悩みは電気代です。

近年みたことがないレベルで電気代が高騰しています。
月額1.5倍近くになっています。

そして原油・ガソリンの高騰により、
日用品や食材も少しずつ値上がりしています。

さらには東京では固定資産税が上がり、
家賃まで上がってきています。

万が一、数年後に
消費税が上がればさらに苦しくなるでしょう。

日本の大多数の人は、収入は増えないのに、
生活支出ばかりが増えていると言われています。

利用者さんも同様で収入はほぼ増えません。
昇給をしても少額です。

増えないだけでなく、もともの収入が少ないので、
これ以上の生活費の負担が困難なのです。

そうなれば運営法人が、
利用者が捻出できない費用面を
リカバリーしないといけません。

法人によって考え方が異なるので一様には言えません。

契約書に書いてある通り、
預り金で足りなければ追加で請求してもらうのが普通です。

とはいえ弊社では、突発的なことであり、
光熱費の高騰は、利用者さんの努力では
どうもならないことだと判断しました。

ただし長期的にリカバリーすることは困難ですね。

一刻も早く電気・石油・ガソリン・生活必需品の
価格の安定を望みます。

『契約条件が変わることは死活問題』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『契約条件が変わることは死活問題』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

グループホームを運営する上で、
所有物件でやっている方もいれば、
賃貸物件でやっている方もいるかと思います。

賃貸契約ですと、2年または5年で
契約更新の機会がありますね。

そのタイミングで運営者側へオーナーから
交渉事が入ることがあります。

・オーナーが自分で使いたいので、
6ヶ月後まで転居してもらえないか?

・現状の家賃を2万円あげさせてもらえないか?

オーナーさんにもそれぞれ事情があるのでしょう。

とはいえ転居を打診されても
簡単に「はい」とは言えません。

グループホーム用途で許可が出ない物件が多数ですし、
あまりにも今の住居と遠ければ、
利用者にとって生活環境が変わる。

一部スタッフも辞める人も出てくる。

就労先までの通勤時間が長くなれば、
就労先を変えることも考えなくてはならない。

賃料アップについても、
契約当初の条件で事業計画を立てています。

賃料が上がれば、
それを負担する利用者の負担金額が増える。

彼・彼女らに経済的にゆとりがあればいいのですが、
現実はそうではありません。

月3,000円~5,000円の出費が増えることは
かなりの負担です。

契約条件が変わるので、
なかなか納得もしないでしょう。

この辺りの事情を理解してくれるオーナーさんは
少ないので交渉が難航するという話を
他のグループホームでもよく聞きます。

契約条件を変えられることは、
オーナーさんにはメリットでも、
我々事業者と入居者にとっては
デメリットしかありません。

私個人の案件だったらオーナーの提示条件に
のんでしまうことはありますが、
入居者や託されたご家族のことを思うと、
簡単にはのめないですね。

福祉の事情を理解してくれて
不動産業者との折衝をする専門家(弁護士等)が
行政から派遣されたら助かるのですが…。

『介護職員の退職理由』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『介護職員の退職理由』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

求人情報サイトを運営するビズヒッツの調査結果が
掲載されていました。

介護職から転職した経験のある191人を対象に
「介護職から異職種への転職理由に関する意識調査」を
実施したそうです。

1位は「体調・体力面の不安」

コメントとしては、
・一日の勤務が終わるとクタクタになり、
『身体的にこのままではもたない』と思った。

年齢・性別に関係なく「腰痛」を理由に挙げた人が多く、
夜勤がある施設で勤務していた人からは「夜勤が体力的にきつかった」と。

2位は「収入アップのため」

コメントとしては、
・仕事量と賃金が見合わないと思ったため
・一番の理由は賃金の安さ
このまま介護職を続けていては、子どもを大学まで行かせてやれない』と思った
・先輩から『何年働いていても昇給はほぼない』と聞いて長く勤めたいと思えなくなった

3位は「労働時間への不満」

コメントとしては、
・夜勤が多くて疲れるから
・結婚して夫の休日に合わせるため、夜勤がない土日祝休みの職種に転職した
・交代勤務がつらかったから

上位3位を見てびっくりするような内容はなく、
どれも納得する内容ですね。

上記はどこの介護従事者にも共通する内容です。

あとは会社の工夫・努力で多少の不満の軽減はできるでしょう。
一部の福祉事業者では、離職率を数パーセントで抑えていますので。

福祉事業は報酬の上限額も、
最低限配置するべき人材の基準も決まっている。

一般的な業界のように利益を生むために、
「売上最大」と「経費最小」という公式が成り立たない。

経費の中でも大半を占めるのが人件費。

「人件費=働くヒト・働く時間」を抑えすぎてしまえば、
利用者にも迷惑がかかかるし、上記のアンケートの様に
一部のスタッフへ体力的な負荷が生じます。

ですので介護職員の待遇面を
国からバックアップすることは大賛成です。

そしてIOTがさらに進み、
価値を生まない一部の仕事の効率化が
さらに進んでいくことを願います。

『好きなスタッフと嫌いなスタッフ』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『好きなスタッフと嫌いなスタッフ』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

「親子の間で最も大事なことは
 愛情である。

 親が子供へ愛情を注いだ分だけ、
 豊かな心が形成される」

こんなことを幼児教育専門家の方から
言われました。

本当にその通りだと思います。

福祉の世界でも、

「支援者の愛情は必ず利用者へ伝わる。
 だから愛情が支援のベースになくてはならない」

と言っている方がいました。

これについては一部が正しく、
一部は誤りであると感じています。

「愛情が支援のベースにあること」

これについては否定しません。

 

「支援者の愛情は必ず利用者へ伝わる」

これについては、疑問です。

血のつながった本当の家族であるならば、
言葉の裏側にある愛情まで伝わることはあります。

しかし支援者と利用者という関係の中では
根底にある愛情よりも、
表面化された言葉や態度の方がより伝わる。

愛情が仮にあっても、
言葉のチョイスを間違えたり、
態度の印象が悪ければ、
利用者との信頼関係は築けないでしょう。

グループホーム内では、利用者さんが

「スタッフAさんは好き。
 Aさんにたくさん出勤してほしい」

「スタッフBさんは嫌い。
 Bさん以外の人に来てもらいたい」

といった話題を出すことがあります。

スタッフのシフト表を
私たち以上によく見てチェックしている方もいます。

 

概ね好きなスタッフとして名前が挙がる人は、
希望を聞いてくれたり、
注意をせずに、優しく接するスタッフです。

逆に嫌いなスタッフとして名前が挙がる人は、
彼・彼女らの要望にはっきりとNO!という人であったり、
耳の痛いことでも注意をする人であったりします。

性格による所もあるので、
父性役のスタッフ、母性役のスタッフと
役割を分けているホームもあるでしょう。

父性役のスタッフの方が
利用者から好かれない傾向があるように思います。

正しさや厳しさを発動する父性役。
根底に愛情があっても、
なかなか報われることは少ない。

「愛情があれば伝わる」と考えるのは、
あまりにも雑な考え方です。