障害者

『非現実的な希望とどう向き合うか…』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『非現実的な希望とどう向き合うか…』
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こんにちは。
大田区で障害者向けグループホームを運営する松本です。

先日、あるグループホームの管理者の方から
事例をお聞きしました。

計画相談員の桑田さん(仮名)が
利用者Bさんの担当でした。

桑田さんという方は、利用者からは評判がよいのですが、
他のグループホームを含めて管理者からは
あまり評判がよくありません。

桑田さんはポジティブ思考で、
利用者さんの希望を引き出すのが上手です。

利用者のBさんは、桑田さんとのモニタリングでポロッと

「いずれはグループホームを出て一人暮らしをしたい。
一人で旅行にも行ってみたい」

と言われたそうです。

すると桑田さんは、

「素晴らしいですね。偉いですね、明確な目標を持っていて。
 絶対に実現しましょう」

と反応されたようです。

その回答が嬉しかったからなのか、
利用者Bさんの気持ちは高ぶります。

毎日のようにスタッフへ

「いつから一人暮らしできますか?」
「いつ、一人で旅行できますか?」

と質問するようになりました。

さらには待ちきれないないのか、
一人で不動産屋さんや旅行会社へ行って、
話を進めてきてしまったそうです。
(店舗からホームへ連絡が入り、
契約の手前でキャンセルができたのですが)

桑田さんが利用者さんへ希望を見せたいと
いう気持ちは理解できます。

とはいえ、ホーム側としては、
現実を踏まえてほしいとのことです。

ご両親含めた関係者の方は、
先々、利用者Bさんが一人暮らしすることも、
一人旅行することも難しいと思っています。

両親は安全面からそれを望んでいません。

誰しも将来への希望がほしい。
でも希望を見せた後の責任は誰が取るのか?

実現可能性が限りなく低い希望を見せておいて、
「あとは本人次第」で片付けてしまっていいのか…。

希望を見せて挫折をすることも、
生きていく上で貴重な体験と割り切るべきか。

「非現実的希望は誰かを不幸にする」と
考えさせられました。

『被害者であるならば、加害者でもある』

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『被害者であるならば、加害者でもある』
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こんにちは。
大田区で障害者向けグループホームを運営する松本です。

利用者さんにはいろいろなタイプがいます。

「被害者」意識を常に持っている障害者さんは
いませんか?

「私は〇〇さんに虐められた」

「私は〇〇さんに馬鹿にされた」

「私はルールを守っているが、
〇〇さんはルールを守らない」

「私は静かにしているが、
〇〇さんはうるさい声を出す」

「私は挨拶をしているが、
〇〇さんは私に挨拶をしない」

あげたらキリがありません。

「自分が被害者である」という発言です。

動機がどこにあるのかは分かりません。

「関心を向けてほしい」
「自分が褒められたい」
という欲求かもしれません。

自分のことはさておき、
他人の言動ばかり気になるのかもしれません。

動機は何にせよ、自分が“被害者”だと思っている方は、
“加害者”にもなっていたりします。

上で例をあげたものを無自覚でも
相手にもやっているのです。

「(無自覚で自分も)相手を馬鹿にしている」

「(無自覚で自分も)相手を馬鹿にしてしまう」

「(無自覚で自分も)ルールを守らない」

「(無自覚で自分も)大きな音を出している」

「(無自覚で自分も)挨拶をしない」

自分が被害者になっていることは訴えてきますが、
加害者になっていることには気づかず…。

ある作業所では
「〇〇さんはどうして仕事をさぼっているのか?」と
毎回のように職場スタッフに訴えてくる利用者さんがいるそうです。

一度話し始めると15分も20分も話し続ける。

周りから見れば、この行為も仕事をさぼっていると映ります。

手を変え品を変え、根気強く
一つずつ気づいてもらうことが必要ですね。

『グループホームへ入る前に必要な習慣』

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『グループホームへ入る前に必要な習慣』
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こんにちは。
大田区で障害者向けグループホームを運営する松本です。

前回は、
グループホームに入り前に何ができたらいいか。

掃除でも洗濯でもなく、
「ありがとう」と「ごめんなさい」が
言えることだと書きました。

さらに一つ付け加えれば、
「早寝早起きの習慣」です。

早く寝れば早く起きます。
遅く寝れば遅く起きます。

一定の睡眠が誰しも必要です。

一番まずいのは昼夜逆転すること。

朝が起きれない。
すると仕事に行かない。
仕事を休むと休むことが癖になる。
さらに出勤するのが面倒になる。

という流れです。

夜更かしをすることは個人の自由ではありますが、
翌日に仕事があるならば、
就寝を促すことは支援者側として必要です。

今この瞬間が楽しいことを選択するのではなく、
仕事も生活も安定させ、
この先も持続的に楽しくなるように導くのが
私達の役割だと思います。

『グループホームへ入る前に自宅で教えること』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『グループホームへ入る前に自宅で教えること』
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こんにちは。
大田区で障害者向けグループホームを運営する松本です。

先日、障害児を持つご両親たちが
グループホームへ見学に来られました。

その時に質問されたことがあります。

「グループホームに入る前に
自宅でも洗濯や掃除などをやらせた方が
いいのでしょうか?

HARUさんに居る方は皆さん、そういったことも
自分でされているので、自宅で訓練させないと
ダメかなと思いまして…」

確かに生活する上で自分の身辺のことが
できるようになることは大切だと思いますが、
一番ではないと思います。

それより大事なことは、

「ありがとう」と「ごめんなさい」が
素直に言えること。

なんだそんなことか!と言われそうですが、
グループホームは共同生活なので、
他の利用者と上手くやっていかないといけません。

さらにはスタッフとも
上手くやっていかないといけません。
(※もちろんスタッフは利用者に極力合わせています)

洗濯が1人でできることより、
他の利用者やスタッフに「ありがとう」が
言えることの方が遥かに大事だと思います。

洗濯や掃除はグループホームに入れば
やらざるを得ないので時間はかかりますが
できるようになるでしょう。

人間だれしも感情に波があります。

気分が落ちている時には、
「ありがとう」が言えない。

自分に非がある時でも
「ごめんなさい」が言えない。

言える人は交友関係を築くのが上手ですが、
言えない人は交友関係を築くことが
苦手な傾向があるように思います。

『グループホームの印象は相対的』

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『グループホームの印象は相対的』
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こんにちは。
大田区で障害者向けグループホームを運営する松本です。

支援員と一緒に未来の利用者さん候補が
グループホームへ見学に来られることがあります。

その時の感想が興味深いです。

「新しい建物ですね」
という人もいるし、そう思わない人もいる。

「広い部屋ですね」
という人もいるし、そう思わない人もいる。

「ルールが厳しいですね」
という人もいるし、そう思わない人もいる。

「支援が手厚いですね」
という人もいるし、そう思わない人もいる。

「駅から近いですね」
という人もいるし、そう思わない人もいる。

皆さん、同じ環境を見学しても漏らす感想は様々です。

その違いは、これまでの環境との「相対的価値」から
生まれています。

今までバスで駅まで通っていた利用者からすれば、
駅まで徒歩7分だったら近いと感じる。

自宅にいて、なにも時間の制約がなかった環境から
移ってくれば、グループホームは自由がないと感じる人もいる。

以前の部屋が4.5畳の狭い部屋だったら
6畳の部屋を見ると、広いと感じる。

今現在、どのような環境に居るかで
グループホームの印象は変わってしまうんです。

つまり「絶対的価値」ではなく「相対的価値」。

より緩い環境からグループホームへ移ると大変に感じる。
より厳しい環境からグループホームへ移れば自由に感じる。

利用者の印象を予想しておきましょう。