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『経験者が陥りがちなバイアス』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『経験者が陥りがちなバイアス』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

「経験者でないと採用しませんか?」

こんなことを聞かれたことがあります。

結論からいえば、一スタッフであれば
経験値は目安であって絶対条件ではありません。

経験値が高い方ほど、
こういった言い回しを無意識にされる方がいます。

・自閉症の方って○○ですよね。

・ダウン症の方って〇〇ですよね。

・知的障害の方って○○ですよね。

・統合失調の方って○○ですね。

あげたらキリがないです。

そういう発言が出る度に
気になってしまいます。

支援は個別で異なると言いながら、
「ステレオタイプ」で人を見てしまう。

ステレオタイプで一律に利用者を見て、
支援していくと大概トラブルが起こります。

知識は必要ですが知識は絶対ではないし、
見方が固定化されないように注意しなければならない。

知識はあくまでも「目安」くらいで、
一参考程度くらいにしておくとよいでしょう。

自分の見方が固定化されたら、
支援の幅や内容も固定化する。

支援者の柔軟な見方が
柔軟な支援を想像していきます。

『義務感や常識で動かそうとしない』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『義務感や常識で動かそうとしない』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

知的障害者向けのグループホームを運営する管理者と
意見交換を行ったときの話です。

1年間休まずに就労先へ通うことができれば理想。
ただし現実はなかなかそうともいかない。

一度リズムが崩れてなかなか職場に足が向かないと
いうことも起きます。

おそらくホーム側としてはあれこれ、
いろいろな知恵を絞って気持ちよく職場に
送り出せるように工夫しています。

ただ「体調が悪い」と言われてしまえば、
なかなか強く勧めることもできません。

病院に行っても、

「心配する必要はないですね。
 しばらく休んで様子を見てください」

と言われて一般的な処方箋を出される。

医者に「しばらく休んで」と言われれば、
そのとおりにせざるを得ない。

勝手な判断をしない運営者が多いかと思います。

これが習慣になってしまい、
2日出勤して1週間休む、
また2日出勤して1週間休む、
といったことが起きることもある。

すると運営者側も心の中では焦りが出てきます。

利用者の立場に立った支援が必要だ
と分かっていながらも、
このまま負のループから
抜け出せなくなったらどうしよう…と。

そうすると無意識にうちに
「コントロール願望」が働いてしまうんですね。

以前あるクリニックの先生に
言われたことがあります。

「通常、皆さんが出勤する動機になっている
 “義務感”や“常識”。
 利用者はこれで動くとは限らない。
 理性よりも本能が優る。
 理性でいくら訴えても、なかなか伝わらないでしょう」

焦りが出てくると、

「〇〇するのが世間の常識」
「〇〇しないと生活ができない」
「〇〇するのが当たり前なのに、なぜやらないのか」

と利用者を見てしまう。

一度物差しができると物差し通りにいかない時に、
人は怒りの感情が芽生えてしまう。

「義務感」や「常識」で動かそうとしていたら、
「コントロール願望」が強くなっていると自覚しないといけませんね。

『コロナがもたらした混乱』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『コロナがもたらした混乱』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

コロナ危機によって私達グループホームも
少なからず影響を受けます。

利用者さんが通う就労先(B型)も同様です。

先日、他のグループホームで
こんなことがあったそうです。

2020年4月から約2~3ヶ月間、
緊急事態宣言によりB型就労先などは、
出勤停止になりました。

そこで利用者はグループホームで
1日中、待機になりました。

日中に就労に行く前提でシフトを組んでいる
グループホームは、増員をせざるを得ません。

つまり人件費が上がってしまいました。

就労先としては、本来は通所してもらわないと
報酬として計上されません。

今回のコロナ期間は、利用者さんに連絡を入れて、
体調確認をしたり、課題の進捗を確かめたりして、
それが支援をみなされ、報酬として計上されたそうです。

過去に類がないためか、

「日中の報酬を就労側が申請するか、
 グループホームが申請するか、話し合いの上、
 決めてください」

といった通達しかありませんでした。

「話し合いの上…」と内容がかえって
こじらせてしまったようです。

グループホーム側からすれば、
不満を持っている方が多数いらっしゃいました。

「就労先から電話が1日2本程度、利用者にかかってくる。
 時間にして5分~10分程度。

 グループホームは日中の8時間を支援している。
 それで報酬が就労側につくのは納得できない。
 人件費も上がっているのに…」

実態でみればグループホームが支援をしている。
でも報酬は就労先に入ってしまう。

「支援内容からすれば、
グループホームさんが報酬を取るのが普通ですよね」

といってくださる就労先もある。

でも就労先もコロナで経営が厳しい。

「報酬がほしい」と思うのは当然です。

そんなわけでグループホームと就労先で、
この自粛期間は電話で何度も話し合いを持たれた所もあります。

ガイドラインを国が出してくれれば、
もう少し話がこじれずに纏まったかもしれません。

HARUはというと…。

とくに日中の報酬は申請せずに、
就労先に100%計上していただきました。

『グループホーム新規参入 被害相談 ④』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『グループホーム新規参入 被害相談 4』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

被害者相談があったので、
また共有します。

コンサルティング会社が
新規グループホーム開設を推奨するために

「副業でもできます」

という謳い文句があるそうです。

従業員を雇って任せれば良し。
オーナー業だけすればいいということらしいです。

これは明らかに過剰表現広告かと思います。

少なくとも事業が起動に乗るまでは、
「副業」というスタンスでは成り立ちません。

本業と副業を一時的に
逆転させてやるくらいの覚悟がなければ、
事業として成り立ちません。

(普通に考えて、
新規事業に労力をかけないと上手くいくはずがない)

従業員の立場で考えてみましょう。

社長の中では「副業」と位置づけている福祉事業を
はたして真剣にやってくれるでしょうか?

グループホームという箱を作るだけならば、
お金があって、少しの人が集まれば、
できてしまうかもしれません。

でも“支持される”グループホームを作るには、
経営者の信念が試されている。

グループホームを運営し続けるには、
経営者の“本気”が試されています。

今のグループホーム情勢は、
数年前の放課後等デイ・サービスに似ています。

質を問われて倒産していくグループホームが
増えていくでしょう。

質の源泉はどこから来ているかと言えば、
経営者の“思い入れ”で決まっています。

『ごちゃまぜだから上手くいく PART2』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『ごちゃまぜだから上手くいく PART2』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

前回のメルマガの続きです。

2020年2月に石川県にある佛子園様を
訪問させていただきました。

「ごちゃまぜだから上手くいく」

これが雄谷理事長の考え方です。

佛子園さんが運営されている1つに
シェア金沢があります。

ここには高齢者が住んでいたり、
子供や地域の住民がいたり、
障害者や大学生が住んだり、働いたりしています。

大学生がシェア金沢に住む場合、
数万円程度に家賃が抑えられている代わりに、
数十時間のボランティア活動が
義務づけられているというユニークな制度もあります。
(※どんなボランティア活動をするかは自分で考える)

シェア金沢というエリアには
“ごちゃまぜ”が成立しているわけです。

この取組は内閣総理大臣なども視察をされていて、
全国で注目を集めています。

しかし興味深いのは、

「シェア金沢を見に来た人は、
ここは理想的な場所ですねと言うんです。
でも私はそういう人に“とんでもない”と答えます。

 ごちゃまぜなんで、いろんな問題が毎日起きます。
 子供がボールで遊んでいたら、高齢者住宅の窓が割れる。
 当然持ち主はカンカンに子供を叱ります。

 子供はまた別の場所で遊んで、今度は壁を汚すとか…。
 次から次にトラブルが耐えないんです」

と雄谷理事長はおっしゃっていました。

人が集まれば毎日問題が起きる。
そして問題が起きれば、どうしようかを皆で考える。

問題解決はどこまでも続きます。
終わりがありません。

完成された理想郷なんてどこにもない。

理想郷に近づけようと努力する。
これがごく「自然なこと」だと感じます。

100%白色で塗られた世界は理想ではない。
むしろ何%か黒で汚された世界が理想なのかもしれません。