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『“必要なもの”にも目を向ける』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『“必要なもの”にも目を向ける』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

「ご両親の経済的援助があり、お金に余裕がある」

という利用者は少ない。

2ヶ月1回振り込まれると障害年金と、
就労先からいただく給与で、
どうにか毎月やりくりされる利用者が多数。

グループホームの利用費などを払い、
残りのお金は、ご自身の嗜好品に充てます。

好きなフィギア、鉄道コレクショングッズ。

甘いものが好きな人は、お菓子やケーキに充てる人もいます。

「自分のお金なのでどのように使うかは本人の自由」

という原則なのですが、
本人にアドバイスをするとともに
交渉することもしばしば。

・衣類に興味がなく
肌着がボロボロになっている方。

・フェイスタオルやバスタオルを何年も使っていて、
匂いが染みついても、なお使っている方

・靴、靴下、ズボンに穴が開いていて、
そのまま使っている方

・敷き布団、かけ布団に多数のシミがついていて、
洗っても落ちない状態になっている方

ご本人にとっては関心がないものには
お金を使いたくないのでしょう。

とはいってもホームのお金で、
入居者の衣類を買うわけにもいきません。

・通行人から見て、どう見えてしまうか?
・職場で周りの目からどう見えてしまうか?
・他入居者からどのように思われてしまうか?
・不衛生はどのようなデメリットがあるのか?
・身だしなみを綺麗にするとどのようなメリットがあるのか?

なかなか納得されない方もいますので、
懇々と説明を繰り返して、
購入していただくこともあります。

本人が“好きなもの”にお金を使うだけではなく、
“必要なもの”にもお金を使えるように支援する。

こちらもグループホームの役割ですね。

『福祉であろうと赤字は悪』

こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

「経営者は経営の仕事、
 現場は現場の仕事をすればいい」

これは一理あります。

しかし、経営の仕事だけしていればいいわけでも
現場の仕事だけしていればいいわけでもありません。

以前、見学に行かせてもらったB型作業所で、
率直な質問をさせてもらいました。

「定員16名に対しては50%しか利用者がいない。
 この状態で大丈夫でしょうか?」

すると現場のB社員は、

「私の仕事は利用者に適切な支援をすることなので、
 稼働状況はよく分かりません。上の方に聞いてください」

と言われていました。

危機感のようなものが全く伝わってこなかったので、
こちらが心配になりました。

案の定、3年経ってもそこの作業所の稼働率は
50%前後から変わっていないようです。

身の回りのことに置き換えれば分かると思うのですが、
そのあたりに立っている10階建てのビルが、
5フロアーしか埋まっていない。
残り5フロアーは空室。

このままだとまずいって誰でも気づきますよね?

もちろんB社員が言う通り、
現場でできることにはある程度限りがあるでしょう。

ただ全体的な数字を全く把握していないならば、
頑張っている方向性が正しいのか、
頑張りの途中経過も見えません。

稼働率という数字が出てくると
ビジネスぽく見えて嫌う方がいます。

収支がマイナスになれば、誰が被害を被るのか。
そこで働くスタッフの処遇です。

そして立ち行かなくなれば、
最終的に迷惑をかけるのが入居者さん・利用者さんです。

「社会福祉法人は潰れない」
と胡坐をかいでいる方がたまにいますが、
こちらが心配になってきます。

「どんな業態業種であれ赤字は悪である」
私は教わってきました。

福祉であろうが赤字は悪であると
捉えるべきではないでしょうか。

『経営はトレードオフ』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『経営はトレードオフ』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

「経営の意思決定は常にトレードオフ。
 Aを手に入れるためにはBを捨てる。
 Bを手に入れればAを失う」

経営論ではこんなことを学ぶ。

万人が納得できる答えを出すことはできない。

だからリーダーが必要だ。
矢面になって決める人が不可欠。

顧客満足と従業員満足。

これはトレードオフだ。

顧客満足を上げるために、
コンビニでは営業時間を延長した。
24H営業が普通になっている。

ヤマト運輸などは顧客満足をあげるために、
時間指定(2H枠)を取り入れた。

あるピザ屋さんは「〇分以内にお届けする」
ということを約束した。

福祉で言えば、顧客満足を上げるために、
「通院同行」「買物同行」などもする。

さらに食事にも拘れば、
無添加の食材しか使わないという施設もある。

顧客満足を高めようとすれば、
人手が必要になったり、労働時間が伸びたり、
経費が増えたりする。

この流れが止められないと、
赤字経営から脱却できなくなる。

その逆も然り。
従業員満足を高めようとすれば、
顧客満足度は下がる。

あるクリニックでは1分でも過ぎたら、
予約があっても患者を受け付けない。

遅刻したほうが悪いからだ。
従業員は予定通り定時で帰宅できる。

デパートでは従業員満足度を高めようと、
元旦営業を止める動きも出てきた。

もちろん経営者は、サービス業であっても
お正月くらい家でゆっくり過ごさせてあげたいと思う。
ただ1日の売上高は平日の何倍にもなる。

1月1日を休むには、
平日にその分を補うことができなければならない。

年始に連休を取ることは難しい。

福祉の仕事も身体に負担がかかる業務を減らすことや、
極力例外を作らないでルールで運営するほうが
従業員満足に繋がる。

イレギュラー対応は疲弊するからだ。
一方で顧客満足度は下がる。

トレードオフでのデメリットを考慮しながら、
両社のバランスを取ること。

先日講演会で、小泉環境大臣が

「決断をすれば誰かが利益を得ることになり、
誰かが不利益を被ることになる」

と言われていた。

今ままでは、「経済成長」と「地球環境」が
トレードオフになっていた。

いよいよ地球環境を無視できなくなってきた。

地球環境を維持しながら
経済成長を模索しなければならない時代へ。

リーダーは常に頭を悩ませる。
「トレードオフ」の中での判断だからだ。

『管理か?支援か?』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『管理か?支援か?』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

私はそもそも人から管理されるのが嫌いです。

そのため相手を管理することも極力したくありません。

責任者なのでマネジメントをしなければいけない立場ですが
マネジメント=管理ではありません。

管理とは、どうしても管理側が安心するだけで、
管理される側は苦痛が伴います。

管理は最低限に留める。
少なければ少ないほどいい、という考えです。

グループホームの中でも、
管理なのか?支援なのか?と疑問に思うことがあります。

「金銭管理」とは日常的に使われますが、
お金の主たる管理者はホーム側になります。

利用者からすれば自由に使いたいお金。
ただ計画的に使うことができれなければ、
依頼を受けて、ホーム側でお金を預からざるを得ません。

上記はよく見られる範囲ですが、
それ以上に金銭管理をされるグループホームもあります。

・購入したレシートは全て提出してもらう
・購入した食品や物品は全てスタッフに報告してもらう
・毎回残ったお金は全てホームに戻してもらい、
 最低限必要なお金のみしか利用者さんに持参させない

利用者個々によって、
どこまでやるのかは当然異なるでしょう。

上記のような管理を強化すれば、
トラブルがなくなるかといえばそうでもないようです。

本人からすれば、スタッフに知られたくないものも
当然購入している。
そのようなレシートは処分する。

するとスタッフからお金が合わないと注意を受ける。

利用者は怒られないように○○に使ったはずと嘘をつく。

さらに自分の立場が悪くなる。
嘘が続くとグループホームにいづらくなる。
息苦しい日常が続く。

このように悪い流れができてしまいます。

ホーム側も利用者側もどちらも不幸な結果ですね。

だとすれば、これは支援ではなく
ホーム側が自己満足しているだけの管理。

支援者側が自己満足するだけの管理になっていないか。
注意しなければなりませんね。

『利用者さん抱える職場の悩み』

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■間違いだらけの「障害」と「グループホーム」■
『利用者さん抱える職場の悩み』
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こんにちは。
障害者向けグループホームを運営する松本です。

利用者さんによってB型・A型作業所から
一般の会社へ障害者雇用枠として勤めることを
目標にする方もいます。

住まいを提供してるグループホームでは、
職場での悩み事を聞くこともあります。

利用者さんが職場でつまづく理由を聞くと、
どれも私たちにも当てはまるなと感じます。

1 職場の同僚と合わない

職場では上司よりも同僚と話す時間も多い。
同僚からおせっかいにも、
いろいろ仕事の注意を受けることもあり、
仕事への自信をどんどん失っていく。

細かいことや自分ができないことを
指摘されると嫌になってしまう。

2 職場の上司と合わない

会社なので定期的に異動はやむを得ないでしょう。
異動が発生するシーズンでは、
皆さんドキドキしているようです。

ウマが合うか合わないかが大きい。

仕事ができる人はどこの部署からも引っ張りだこ。
優秀な上司の異動は諦めるしかありません。

3 体力的にキツイ

清掃業務、モノづくりにしても立ち仕事が多い。
最初は努力できますが、
徐々に体がしんどいという声が聞こえてきます。
ホームに帰ってくるとぐったりしている様子も見かけます。

勤務日数や勤務時間に配慮してもらえる会社ならば、
続けられることもあります。

4 仕事内容についていけない

同じ仕事をずっとやれれば混乱はないですが、仕事は生き物。
今までやったことがない作業をしなければいけなかったり、
新しい場所で作業することも求められる。
少しの変化への適応がストレスになってしまいます。

5 仕事に“面白さ”を感じない

お金のために好きでもない仕事をする。
これは現実的にあり得る話です。
“やりがい”“面白さ”を感じることはなく、
退勤時間まで時間が過ぎれば、ホッと一息。

障害を持つ方が長く勤められるように、
できる限りの工夫と配慮をしてくださる職場もあります。

それでも利用者から職場への愚痴が出ると、
「一般的な会社は○○ですよ」
と現実論を伝えることもあります。

100%満足する会社は世の中にはなく、
何かを我慢しなければいけない。

それを理解してもらわなければ、
転職先が見つかりませんし、
転職できても上手くいきませんので。